製造工程のゴミほこり対策(臨時発行)

皆さんこんにちは、平田政司です。

このメールは、現在ならびに今までお取引いただいたお客様、
およびメルマガのご登録をいただいたお客様への
無料のサポートメールです。

◎ 本日のお題

☆☆ 溶剤塗装現場の火災予防 ☆☆

皆さんご存じの通り、現在栃木県足利市と群馬県桐生市で大規模な山林火災が発生しています。
北関東はいま湿度が低く、20%を切る日があります。
これに加えて最大瞬間風速も10m/sを越える場合も少なくありません。

前回のメルマガで溶剤塗装現場の火災予防を配信いたしましたが
注意喚起という意味合いで改めまして内容を加筆し、配信いたします。

まず最初に、火災の三要素です。
これは、1)点火源 2)可燃物 3)酸素 の3つです。

今回の山林火災も、燃やしていた落ち葉の火の粉が飛び移ったことや
湿度が低かったことや、風も強くて火が広がってしまったと報道されています。

つまり、この火災の三要素がすべて重ならなければ火災は発生しません。
この三要素について、溶剤塗装現場の管理ポイントを解説していきます。

1)点火源

溶剤塗装現場に於ける代表的な点火源は、静電気です。
最も維持管理が難しいのが、治具の接点の通電確保だと思います。
私も会社員時代は苦労しました。
現場によっては、テスターで通電管理をしている事例もあります。

たまに軍手をして静電塗装をしている事例を見かけますが、
人体に静電気が溜まってしまうので、不適格です。
静電塗装は素手が基本です。
腕にアースバンドを着用して、手にはニトリル手袋をしている
事例もあります。

毎年のように塗装現場の火災が発生するのが、
ドライブースでフタル酸塗料を塗装している事例です。
フタル酸塗料のような酸化重合型塗料は、酸素と反応して
硬化する際に熱を発生します。
このため昼休みにドライブースの排気フィルタが発火してブースが
全焼した事例があります。

意外と多いのが、排気ダクトのファンの過負荷による火災です。
ダクトやファンが塗料で詰まって火災になった事例があります。
私はこの事故を未然に防ぐため、排気ファンのモーターの
電流値を毎月記録しグラフにして、変化をつかむことを
おすすめしています。
電流値は、制御盤の3相の赤いコードをクランプ式の電流計
で測定すれば簡単です。

また首里城は、分電盤から出火した可能性も調査されています。
コンセントや配電盤、制御盤などのほこりや水分によるショート、
トラッキング火災にも注意が必要でしょう。

2)可燃物

塗装ブースや塗料保管庫の塗料、シンナー缶は、縞鋼板などを
敷いた床に置いてアースしている事例をよく見かけます。

特に危険なのが空のシンナー缶です。
空気より重い揮発溶剤は、一斗缶に濃度が濃い状態で溜まっています。
これにスパークで引火すると燃え上がるので必ず蓋をしましょう。

塗装工程は、ボイラーや水切り乾燥炉、焼付炉でガスを使います。
定期的に石けん水による配管のガス漏れチェックが必要です。

3)酸素

塗装ブースで火災が発生した時は、酸素の供給を止めるため
ブースの給排気を止める必要があります。

ところが、塗装ラインや塗装機の非常停止ボタンとブースの
給排気が連動されていない場合が少なくありません。

火災避難訓練で塗装機を止めて避難したが、塗装ブースの
給排気はそのまま動いていた事例がありました。

避難時に確実にブースの給排気を止めて延焼を防ぐための
工夫が求められます。

以上がこれまで私が経験した溶剤塗装における火災の三要素の
管理ポイントです。

溶剤塗装現場で火災が発生した場合は、人的や設備の被害だけでなく、
お客様にも迷惑がかかります。

日頃のこまめな管理で、火災は絶対に起こさない体制を構築しましょう。

◎編集後記

しばらくは湿度が低く風が強い日が続くと思います。
普段から注意している現場では火災は発生しません。
今一度、現場の状況をご確認されることをおすすめいたします。

では次回もお楽しみに!

何かお困り事がございましたらこのメールでご返信ください。
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塗装技術コンサルタント
平田技術士事務所  平田政司(ひらたせいじ)
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