ノウハウのご紹介

私が経験したノウハウの一部をご紹介します。ただしここに掲載するものはそのほとんどが公知事例であり、特別なものは記載しておりません。守秘義務の為、詳細は記載できませんが、ご参考ください。
なお、ウエブログ(ブログ)にてコンサルティング日誌を書いています。
毎日の仕事のなかで感じたこと、塗装技術のポイントなどを記載しています。
コメントを記入していただくこともできます。
是非、ご覧ください。

   『塗装技術コンサルティング最前線』

 

◎塗装で一番歩留まりを低下させるものは?

 塗装で一番歩留まりを低下させるものはゴミです。
ゴミの発生原因を調べる方法としてパーティクルカウンター等がありますが、お金をかけなくてもできます。たとえば白い紙(コピー用紙)を塗装ライン内や搬送装置周辺や直下、塗装ライン周辺に一定時間置いて、紙の上に落ちたゴミの量や内容を観察する方法があります。白い紙の代わりに、水を張ったバットを使ったこともあります。更には焼付炉を止めて製品をあるロット流して塗装し、わざと製品にゴミを付着させ、工程を移動する製品を観察することにより、どこの工程でゴミが付着するかを調べる方法もあります。焼付炉の循環ファンを廻して流したものと焼付炉を止めたものとの比較により、焼付炉のゴミに対する影響も確認することができます。

 

◎ ゴミを低減させるのに一番効果があるものは?

 ゴミを低減させるのに一番効果があるのは、隔離です。不燃シートや鉄板による隔離より安く施工が簡単で、格段に効果が得られる方法があります。具体的な方法については実際のコンサルタントでご指導いたします。

 

◎ クロメート処理の管理ポイントは?

 クロメート処理では全酸度と遊離酸度を管理されておられると思います。ところが、日常十分に管理されておられても突然密着性が低下するときがあります。じつは他に管理しなくてはならない数値があります。その数値とは....。

 

◎ 洗浄水の純度の計測数字は?

 塗膜の密着性、アルミの切削品へのクリヤー塗装でのシミの解決に大きな影響を持つのが前処理工程の最後の純水洗の水の純度です。純度の管理は電気伝導度か比抵抗値で行います。このふたつの数値には次の関係があります。電気伝導度(μS/cm2)×比抵抗値(Ω)=1×10の6乗

 

◎ 粉体塗装ガンの特徴は?

 粉体塗装ガンはご存じの通りコロナとトリボがあります。コロナはメンテナンスが比較的容易ですが被塗物との間で電離域ができるのでゴミを寄せ集め易い短所があります。一方トリボガンは摩擦帯電方式であり、粉体塗料の一粒一粒を荷電し、電離域がないのでゴミに強く、また付き廻り性も良いという特徴があります。しかしメンテナンスの良否によりその性能は著しく低下するので、現場のメンテの実力に合わせてガンを採用しなくてはなりません。

 

◎ 塗装ブースの風向管理方法は?

 塗装ブースは溶剤、粉体ともに空気の流れを絶えずチェックする必要があります。粉体ブースは比較的簡単で、製品の出入口や塗装機の周辺に吹き流しを垂らすことにより目で確認することができます。溶剤ブースはやはりスモークテスターでしょう。

 

◎ 塗装ラインの管理指標は?

 塗装ラインの管理は数値管理から始まります。塗装ラインのあらゆる状況を数値にして管理表を作成し数値を管理します。たとえば前処理の濃度、PHや稼働時間(止まった時間)、外観検査の結果などがその管理指標です。特に外観検査の結果はゴミなのかブツなのかタレなのかなど内容別に分類して結果を分析し改善計画に反映し、プラン、ドゥ、チェック、アクション(PCDA)の継続的改善につなげていきます。

 

◎ チェックリストとは?

 数値管理のツールがチェックリストです。チェックリストには管理値を入れて誰でも現在の塗装ラインの状態を判断できるようにします。こうすることでライン運転者も管理者もチェックとアクションを継続的に行えることができます。チェックリストには、クレームの対策や品質向上の管理ポイントなどをどんどん盛り込んで改訂を続け、会社のノウハウの固まりにすることをお薦めします。

 

◎ メタリック塗料のアルミフレークの配向とは?

 メタリック塗料の場合、アルミフレークの立ち方(配向)を変えることにより白さを調整することができます。これはアルミフレークが立った場合、頭が見え黒目になりますが、アルミフレークが寝た場合フレークの胴体が見え白目になるからです。この調整の方法はいろいろありますが、たとえば粘度を低くした場合(希釈を多くした場合)、霧化圧を上げた場合、吐出を絞った場合、塗り重ね回数を増やした場合に白めに行きます。私の経験では色差2程度は調整できます。

 

◎ 塗装設計とは?

 どういった塗料を塗装してお客様の求める機能を得るかを決めることを「塗装設計」と呼びます。主には塗料の樹脂の選択です。お客様の求める機能が多く単層塗膜では塗膜性能を得ることが難しい場合、複数の樹脂塗料を重ね合わせて塗装することによりトータルの塗膜性能を大幅に向上させることができます。これを「塗膜の機能分担」といいます。たとえばプライマーはその一例です。

 

◎ 耐食性向上で見落としがちなポイントとは?

 耐食性の向上が必要になったときに、意外と見落とすのがエッジの処理です。錆は電気化学現象ですから腐食電流が流れなくすることが基本です。塗膜性能の向上で押さえることもできますが、エッジの処理との合わせ技でトータルの耐食性を更に向上させることができます。

 

◎ 密着性のメカニズムとは?

 塗膜の密着性に関係する分子間の力は、物理的な結合と水素結合とに分かれます。一般に金属塗装では分子同士の引力である物理的なファンデルワールス力と化学結合である水素結合が働いています。水素結合は素材金属の酸化物層の上の吸着水層の水分子の酸素原子と塗料中のエポキシ基やカルボキシル基などの水素原子が水素結合で引き合っています。アクリル樹脂塗料にはエポキシ基などがないため水素結合が働かず、ファンデルワールス力だけのため一般にエポキシ樹脂塗料の密着性、耐食性はアクリル樹脂塗料などに比べて良い性能が得られます。
一般に水素結合の強さは共有結合の1/5~1/10程度、ファンデルワールス力の10倍程度です。
塗装の密着性向上にはこれらの分子間のフォースを効果的に使っていく必要があります。具体策は現物を拝見させていいただきご指導いたします。

 

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