製造工程のゴミほこり対策 (第12号)

皆さんこんにちは、平田政司です。

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◎ 本日のお題

☆☆ クリーンレベルの全体最適化 ☆☆

今回は、製造工程全体の俯瞰が重要であるという『全体最適化』について
お話しします。

17年前にベストセラーになったビジネス書の「ザ・ゴール」は、
ご存じでしょうか?
製造ラインの生産性は、すべての工程の能力を合わせなくてはならないという
内容です。

著者のゴールドラット氏のTOC(制約条件の理論)は、当時、
世界中で反響を呼びました。

この本の中では、「部分最適」と「全体最適化」という言葉が使われています。

工程がつながる製造ラインでは、工場全体の生産量はボトルネックの生産能力で
決まってしまいます。

したがって設備全体を俯瞰し、ボトルネックの生産能力を上げ、それぞれの工程の能力を
均一にすることで全体能力を最適化します。
これにより設備全体の生産性が向上し、コストが下がるという事です。

逆に言うと、製造ラインの一部分の能力を上げて部分最適をはかっても、
設備全体の最適化にはならないということです。

私は塗装工程のゴミブツ対策をコンサルティングしていますが、
これと似た現象をよく見かけます。

すなわち、クリーンレベルの全体最適化が抜けているという事例です。

わかりやすい例としては、セッティングゾーンの雰囲気、エアシャワーの維持管理、
クリーンスーツのメンテナンス状況が上げられます。

最初の事例のセッティングゾーンの雰囲気ですが、HIDライトで観察すると
たくさんの浮遊ゴミが確認できる時があります。
塗装ブースにはクリーンエアーの給気装置があり清浄度が維持管理されていますが、
セッティングゾーンの清浄度管理はほとんどされていません。

つまりセッティングゾーンは塗装後の製品が通過するので、
ホコリの中を乾燥前の製品が進んでいるという状態です。

ですから完成品のゴミ不良は、塗装ブースのクリーン度ではなく
セッティングゾーンのクリーン度で決まってしまうわけです。
塗装ブースは「部分最適」されていますが、セッティングゾーンがボトルネックなので
品質はセッティングゾーンの品質で決まってしまうと言うことです。

エアシャワーの維持管理やクリーンスーツのメンテナンス状況についても同じです。
皆さんも経験があると思いますが、エアシャワーの設定時間を短くしているとか、
排気口のフィルターが目詰まりしている時があります。
これではせっかくのエアシャワーも、効果を発揮できません。

またクリーンスーツもメンテナンスをしなければ発塵源になります。
その他の工程の管理をしっかりしていても、その発塵源で品質が決まってしまいます。

塗装ライン全体を囲ってホコリの防御をおこなっても、
塗装ブースの給排気バランスが取れていなければホコリを含んだ空気が隙間から流れ込み、、
塗装ブースが集塵装置になってしまいます。

塗装ブースの前に除塵工程を設けている場合も、
除塵工程のクリーン度や除塵後から塗装ブースまでの区間のクリーン度が劣る場合は、
除塵の効果は得られません。

まさに、「木を見て、森を見ず」です。
俯瞰しないで一部の設備改造をしてもよくなりません。
いろいろやってみたけど、良くならないという場合も同じです。

ライン全体の俯瞰の「見える化」には、オムロンの粗粒子パーティクルセンサと
温湿度ステーションをバッテリー駆動させてラインに流し、
ラインの搬送経路のパーティクル数を連続的に測定、ロギングすることを
おすすめいたします。

まず俯瞰する。
問題箇所を見つける。
全体バランスを取る
取れたら、全体のレベルを上げていく。

「全体最適化」という視点で、今一度現場を俯瞰してみてください。

◎編集後記

今回が第12号のメルマガ配信ですが118名の皆様に
配信させていただいております。
少しずつ読者が増えており、改めまして御礼申し上げます。

内容などでお気づきの点がございましたら
どうぞお気軽にお聞かせください。

では次回もお楽しみに!

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